失敗しない農業M&A|高齢農家の不安を専門家がやさしく解説【安心の事業承継Q&A】

農業の現場では、「この先、自分が元気なうちに農地や設備をどうしたらいいか…」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
近年、「農業M&A(農業の事業承継)」という言葉が注目を集めており、後継者がいない方にとっても新しい選択肢となっています。
今回は、農業M&Aに不安や疑問を感じている方のために、専門家がよくあるご質問にやさしくお答えします。
「なんとなく気になっていたけれど、難しそうで…」という方にこそ読んでいただきたい内容です。
Q1. 「農業M&A」ってそもそもどういうこと?
農業M&Aとは、「ご自身が続けてきた農業を、信頼できる第三者に引き継ぐこと」を意味します。
「会社を売る」ようなイメージを持たれる方もいますが、農業の場合は、農地や機械、ノウハウを丸ごと次の方にバトンタッチするというイメージのほうが近いかもしれません。
相手は、農業を志す若者や企業、地域に移住したい人などさまざま。
「子どもが継がない」「高齢で体力的に厳しい」という方でも、想いをつないでいける仕組みとして注目されています。
Q2. 誰でも利用できるの?条件はありますか?
はい、基本的には農業を営んでいる方であれば、どなたでも利用することができます。
法人化していない個人の農家さんでももちろんOKです。
年齢に制限はなく、「もう80歳を超えているけれど…」という方でも大丈夫。
大切なのは、「自分の農地や設備を引き継いでくれる人を探したい」というお気持ちです。
農地が貸地(借りている土地)の場合でも、地主さんの理解が得られれば、M&Aの形にすることも可能です。まずは相談してみることが第一歩になります。
Q3. 何から始めればいいの?準備が不安です
最初にやることは、「今の状況を整理すること」です。たとえば以下のようなことを一緒に確認していきます。
- 持っている農地の広さと場所
- 使っている機械や設備の種類
- 何を育てているか、販売先はあるか
- 住宅や倉庫の状態
「ぜんぶ細かく言えない…」という方でも大丈夫。専門家が一緒にヒアリングしてくれますし、必要なら現地調査もしてくれます。
「準備する」というよりも、「これまでの農業人生を振り返る」ようなイメージで大丈夫ですよ。
Q4. どんな人が引き継ぎ先になるの?
引き継ぎ相手には、農業を志す若者、地方に移住して農業を始めたい人、または企業などがいます。
最近では「脱サラ」して農業に挑戦する方や、夫婦で新しい生活を始めたいという方も多いです。
大事なのは、「自分の農業に合うかどうか」
マッチングの際には、希望条件(例:果樹を続けてくれる人、地域の行事も大事にしてくれる人など)を伝えることができます。
顔を合わせて話す機会や、実際に一緒に作業してみる期間を設けることも可能なので、安心して見極めることができます。
Q5. 相手が信用できる人か心配です…
これは、多くの方が一番気にされるポイントです。
M&Aの支援を行う機関では、引き継ぎ希望者の身元や経歴、資金の有無などを事前に確認しています。
また、希望があれば、数ヶ月間一緒に農作業をして、お互いをよく知る期間(お試し引継ぎ)を設けることもできます。
「きちんと農業を続けてくれるのか」
「ご近所付き合いもうまくやれるのか」
そういった“人柄の相性”も、十分に見極めたうえで進めることができます。
Q6. 収入や補助金はどうなるの?
農業M&Aによって、農地を売却したり貸したりすることで、一定の収入を得ることができます。
また、継ぐ側には補助金が出る制度があるため、その分スムーズな引き継ぎが可能になります。
たとえば、「経営継承・発展支援事業」などを活用すれば、条件を満たすことで数百万円規模の補助金が交付されるケースもあります。
こうした制度は申請や書類が少し複雑ですが、専門家がしっかりサポートしてくれるのでご安心ください。
Q7. 「全部引き継ぐ」のは不安…一部だけでもOK?
もちろん大丈夫です!
「まずは一部の畑だけ貸してみたい」「機械はまだ使いたい」など、部分的な引き継ぎからスタートする方法もあります。
また、「1年ほど一緒にやってみてから正式に引き継ぐ」といった段階的な方法も可能です。
無理せず、少しずつ慣れていくことが大切です。
ご自身のペースや体調に合わせて、柔軟に進められるのが、農業M&Aの良いところでもあります。
Q8. 契約書や手続きが心配です…
契約や法的な手続きは、専門の支援機関や仲介者がしっかりと対応してくれますのでご安心ください。
たとえば、農地の名義変更、設備や機械の譲渡契約、就農計画書など、慣れない書類がたくさん出てきますが、すべて丁寧にサポートしてもらえます。
「書類が苦手」「細かい字が読みにくい」という方でも、わかりやすく説明しながら進めてくれる支援者がいますので心配いりません。
Q9. 家族と意見が合わないときはどうしたら?
ご家族との意見の違いに悩まれる方も多いです。
「自分は引き継ぎたいけど、子どもは反対している」「兄弟との話し合いがうまくいかない」など、状況はさまざまです。
そんなときには、中立的な立場の第三者(専門家)が間に入って、丁寧に話を整理してくれます。
ときには、家族との「対話のきっかけ」にもなります。
無理に説得する必要はありません。
少しずつ理解を得ながら、一緒に考えていくプロセスが何より大切です。
Q10. まだ決めきれていないけど、相談だけしてもいいの?
もちろん大丈夫です!
「相談=すぐに進める」ではありません。
まずは「話を聞いてみる」「他の人の例を知る」だけでも、大きな一歩になります。
実際、多くの方が半年〜1年かけて、ゆっくりと気持ちの整理をしながら進めているのが現状です。
「もう少し農業を続けたい」「でも、いずれは引き継ぎたい」
そんな思いを持っている方こそ、早めに情報を持っておくことで、いざというときに慌てずに済みます。
気軽な気持ちで、一度お話してみてくださいね。
まとめ:未来を見据えて、今できる準備を
高齢になってからの決断は、簡単なことではありません。ですが、農業M&Aは「安心して次の世代につなぐ」ための有力な手段です。
もし、「まだ元気だけど、いつかは…」という思いがあるなら、ぜひ一度、専門家に相談してみてください。
あなたが育ててきた農業のバトンを、丁寧につなぐお手伝いをいたします。